Yamaden Head Office and Factory Phase1

ヤマデン本社工場社屋Ⅰ期

用途:事務所 兼 工場(樹脂系切削加工工場)
構造規模:鉄骨造ラーメン構造・地上2階建て  
敷地面積:6,912.89㎡(1期2期合計)
建築面積:1305.49㎡
延床面積:1,986.87㎡(1階1049.97㎡, 2階937.90㎡)
設計期間:2018年3月-2019年3月
施工期間:2019年4月-2020年3月

創業55年目を迎える樹脂系加工工場の新本社屋工場1期である.最新の可変性&生産性とともに,新しい人材と製造業の未来を見据え,多様な視点から「今日的で快適なワークプレース」が求められた.新天地である多摩丘陵の敷地内法面を逆手にとり,身近に愉しむ緑のオヘソ「ファクトリーガーデン」として活用した.大きな庇は,大小様々な搬出入を可能とし,衛星からの馬蹄形屋根(2期合わせて歪んだハート)がアイコンとなる.

施主は創業以来,先代からの才を受け継ぎ生産ネットワークの多角化に取り組んで,東北から九州まで全国15拠点へと成長を遂げた.一方で創業地の昭島を中心とする本社工場は,つくりが前世代的で手狭になり,優秀な次世代雇用の面ではマイナス要因に転じていた.こうした雇用と器の問題は同社だけでなく,戦後日本の高度経済成長の礎となった昭和感の残る工場で近年同様の課題を抱えており,工場というビルディングタイプの見直しは今や普遍的といえる.そこで八王子市鑓水に新天地を求め,2018年にプロポーザル方式によって,bewsと東鉄工業設計部による設計共同体を採択,「現代的で魅力ある生産拠点」を共に考え創ることが求められた.同時に,3次元切削技術の増進により、樹脂加工業のさらなる活用飛躍の可能性と「国内生産」の重要性が高まっており、それに応えるべく日本の製造業の未来を見据えた製造拠点の創出を望んでいた.

「行止りを避ける」工場は時代と共に新陳代謝する外皮だ.10tトレーラーを始め車両動線は生産上の動脈であり,アクセサビリティは最大限担保したい.だから段々畑のような敷地を一筆書きで循環するスロープを設け,行止りを避け中央を四方アクセス可能な建築としたこれが最初の地ならしで,その副産物は,住宅側へ騒音源とゴミ置場を回避した「木優しい顔」だ.中央法面のオヘソ「ファクトリーガーデン」1期2期のちょうど狭間にある4mの法面,このオヘソをどう活かすかで全体の雰囲気が決まると感じた.緑は「きちんと自然を演出」しないと認識されにくい.ファクトリーガーデンはその高低差を活かして,様々な角度からのさりげない演出を心がけた.ブリッジを通るたびに上から眺めたり,ショートカットのジグザグ散歩道を通りベンチに佇む.○○風でない,涼し気な姿でそよそよ風に揺れ,忘れず花を咲かせる姿にリフレッシュされる,日々頑張る者に寄り添う心豊かな庭だ.

Yamaden Head Office and Factory Phase1

tba